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2010年07月21日

★シリーズ『会社って誰のもの?』 ~1.「現状はどうなっている?」 -3 新会社法改正の背景は?~

こんにちは、chiueです
シリーズ『会社って誰のもの?』の第一章では、会社の現状を詳しくみてきました。
 会社ってこんなにいろんな種類があるんだ
 会社によってこんなところが違うんだ 😮
と、意外と知らない「会社 」について、徐々に詳しくなってきたのではないでしょうか
(前回までの復習はコチラから→1-1実態1-2比較
このように、様々な会社が設立されている背景には、それを規制する法律の存在も大きく関わっています。
よって本記事では、会社を取り巻く環境が変化した『新会社法』に焦点をあてて考えていきます♪
2005年に制定され、2006年から施行された新会社法は、
日本で商法が始まった1899年以来、なんと107年ぶりの大改正 でした。
制度を変えるからには、それなりの理由があるはずですが、みなさんご存知ですか?
え!そんな理由だったの!?
と思うかもしれません^^;
新会社法』の中身を抑えつつ、制度を変えた理由と経緯を一緒に追求しましょう☆+゜
続きも見てくださいね

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まずは『新会社法』のおさらいから・・・
そもそも、日本には会社法という法律は存在していませんでした。
商法(特に第二編会社)に商法特例法や有限会社法というバラバラの法律を、今回『新会社法』として独立させたのです。
(※画像はコチラからお借りしました。)
決められている内容は、従来の商法においても、新会社法においても、以下の4つがメインとなります。
 ①会社を作るための設立に関すること
 ②有限責任の出資である株式に関すること
 ③総会や役員などの会社を動かす機関に関すること
 ④剰余金を分配(配当)したりするための計算に関すること

新会社法』が施行されたことによって、「有限会社の新設はできなくなった」という話は知っている人も多いことでしょう。
他にも、「株式会社が1円から設立可能に」 「取締役は1人でいい」 「合同会社などの新しい形態の会社が設立可能に」 「M&Aが柔軟になる」と言われています
🙄 なぜ、このような方向に制度を変えたのでしょうか??
その原因を追求すると、ある一つの理由が浮かび上がりました。
それは。。。
アメリカの年次改革要望書に書いてあるからなのです!!
2005年12月7日の『日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書』の商法の欄に、
なんて書いてあるかというと…

商法より抜粋
I. 効率的な改革と株主価値の推進
国内及び国境を越えたM&A 取引を阻害ではなく寧ろ促進する近代的な会社法制度は、経済全体の効率的な改革を推進し、大規模並びに小規模投資家の利益のための株主価値を最大化する。このような近代的体制の重要な構成要素には、近代的合併手法や株式公開買付や、企業再編成の活用を容認し促進すると同時に少数株主の権利を保護するメカニズムを備えた規則が含まれる。
III. 効率的な株式公開買付の促進
>III-A. 対象会社の財務状況に重大な変更が発生しない場合や株式分割、買収防衛策の撤回といった、特定の正当な要件を条件として株式公開買付が可能となるよう、またはそうした変化に対応した株式公開買付の変更が可能となるよう、証券取引法の改正または他の必要な処置を行う。
>III-B. 対象株式公開企業の取締役が公正かつ公平な分析に基づき、株主が公開買付に応じるべきか拒否すべきかについての取締役会の見解を述べること、或いは取締役会が買付に対して中立的立場に留まることを決定したか、またはそのような買付に対する立場を表明できないかを明言することを義務付ける要件または受託者義務を設ける金融庁の規則を導入する。
>III-C. 新たな法人格への移行の促進 会社法の施行日以前に有限会社または株式会社から合同会社への法人格の移行を可能とする制度を、会社法の政令或いは省令にて提供する。
>III-D. 株式買取請求権の実効性強化 あらゆる形態のM&A 取引において、反対株主による株式買取請求権の申立て手続及び評価手法を簡素化する。
(注:上記の日本語文書は仮翻訳であり正文は英文です。)

ちなみに、アメリカの年次改革要望書とは→(ウィキペディア参照
これまでも、年次改革要望書に書かれていた以下のような数々の内容が、実際に法案として成立しています

年次改革要望書の要求どおりに成立した法案 (るいネットより)
【年次改革要望書の要求】→【日本の法改正・制度改正】
人材派遣の自由化 → 99年:労働法改正
大店法の廃止 → 00年:大店法の廃止
司法制度改革 → 02年:弁護士業自由化、04年:法科大学院導入
アメリカ型経営形態導入→ 03年:商法改正
外国企業の日本参入 → 05年:新会社法成立
会社合併手続きの簡素化→ 05年:新会社法成立
保険業の自由化 → 98年、05年:保険業法改正
郵政民営化 → 05年:郵政民営化6法案成立
独占禁止法の強化 → 05年:独占禁止法改正
医療制度改革 → 今後?:自由診療拡大etc・・・

M&A取引の促進証券取引法の改正新たな法人格への移行の促進などなど、
これらの会社法の改正は、アメリカから要求されたものだったのですね。
そして、まさにこの方向に改正されてしまいました
新会社法施行後、株式市場に外資が参入し、M&Aが盛んになったことも記憶に残っている人が多いのではないでしょうか。(M&Aの推移参照)
単に「起業を簡単にするため」などという目的ではなかったのですね
日本の優良企業の売買を増やしたいアメリカの意図が読み取れます。
そもそも「株式会社」という形態は、上場している以上、売買されるものですから、当然といえば当然なのですが、そう考えていない日本人も多いのではないでしょうか^^;
これらの動きに違和感を持った日本企業も少なくなく、
たとえば「(株)ワールド」は、対抗策として、上場を廃止しています。
株式の上場に頼らずとも資金調達や信頼性を維持できる日本の企業にとって、上場していることのリスクの方が重大であることが分かります。

「株式会社」の意義とは?1~ワールド上場廃止の事例より~

>上場廃止の理由を同社の寺井秀藏社長は、日本経済新聞のインタビューに答えて、次のように述べている(2005年7月26日付朝刊)。
>「目まぐるしく変化するファッション業界にあって、安定して収益を上げられる体制をつくらないといけない。それにはスピードが必要。新業態や店舗などの開発投資を実行する際に、投資家の中には、短期的な利益の方を求める声が多い
株式市場からの資金調達に依存しない企業成長という道は、じつは戦後の日本企業全体がとってきた道である。銀行を中心とする間接金融体制が日本の企業金融の中核で、1980年代に至るまで株式市場からの増資による資金調達が日本企業の成長資金の供給に果たしてきた役割はほんの少しでしかなかった。
>ワールドの寺井社長は、目指す企業像を問われて、こう答えている。
「理想はパートナー制。持ち株会を通じて、なるべく多くの社員に株を持ってもらいたいと考えている」
つまり、企業内部の株主ばかりになれば、外部の株主を大量に持つことのマイナスから解放されつつ、かつ株式会社制度のよさの本質的な部分は享受できるのである。

ワールドの他にも、自主的に上場の廃止に踏み切った例はいくつかあります。
食品メーカー「ポッカコーポレーション
外食業の「すかいらーく
青汁「キューサイ
日用品メーカー「サンスター
これまでの日本の企業は、株式を持ち合うなど、『株式会社』という形態を取りながらも、
海外ほど株式市場を活用せず、労使一体経営という色彩が強いものでした。
会社とは『集団である 』とする日本人の会社観と、会社とは『売買するモノ 』とする外国人の会社観の違いが顕著にみてとれますね。
また、1-11-2で触れたように、会社の種別はいくつかありますが、そのうち約63%は株式会社です。
形だけの場合もあるとはいえ、この法改正で「会社とは売買するモノ」と捉える人も増えていくことでしょう。
「このままで大丈夫?」
「もっと集団に適した形態があるのでは?」

これらの危機感や今後の可能性を探るためにも、
そもそもの株式会社の成り立ち や生産集団の歴史 を遡って考えてみたいと思います^^
続きは次の記事で お楽しみに

 

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