2010年06月30日
★シリーズ『会社って誰のもの?』プロローグ~ある日、突然、会社が売却されたら・・~
こんにちは。今回より、10~12回にわたって、「会社って誰のもの?」ということを調べることを通じて、これからの時代の会社のあり方や社員の働き方について考えていきたいと思います。
ところで、みなさんが働いている会社が、「ある日、突然、どこかに売却されたら・・・」ということを考えたことはありますか?
うちは上場していないし、そんな有名な会社じゃないし、そもそもそれによって何か変わるの?・・などいろいろな意見が出そうですね。
でも、これは、現在では決してレアケースではなくなってきています。というより、株式会社という制度そのものは本来、法律的にはそれが可能な形態なのです。たとえば、つい最近の事例ですが、
『KKR関連会社、USEN<4842>子会社のインテリジェンスを買収』 2010/06/18有線放送大手のUSENは、米国プライベートエクイティ投資会社のKohlberg Kravis Roberts & Co.L.Pの関連の投資ファンドが実質的に全株式を保有する株式会社メティスに対してUSEN子会社のインテリジェンスの株式を譲渡することを取締役会で決議した旨発表した。
メティス社はインテリジェンスの発行済み株式369,881(100%)を全て取得し、完全子会社化する。
株式譲渡価格は32,500百万円。インテリジェンスの平成22年2月期の売上高は54,690百万円、経常利益は513百万円、純資産は9,034百万円。USENは、平成18年9月に正社員の人材紹介・アルバイトの求人情報サービスにおいて業界2位を占め、ITソリューション事業を中心とする派遣アウトソーシング事業を営むインテリジェンスを連結子会社化し、平成20年9月には株式交換により完全子会社化していた。
しかし、USENは現在、有線放送事業に経営資源を集中することで業績および財務基盤の立て直しを図っており、事業の選択と集中の一環で今回の譲渡を決断した。これにより、USENは有利子負債の大幅な圧縮を図る。
「M&Aニュース」より引用
まず、最近、増えてきているM&Aの実数について調べてみました。
「新たな成長に向けた日本型市場システム・企業ガバナンスの在り方に関する調査・研究」:内閣府より引用
実際に事例として知られている以上に、毎年、これだけ多くのM&A件数があるとは驚きです。もちろん、この中には新聞やTVで扱われるような大きな案件から、小規模な案件まで含まれています。
ちなみに、その株主の構成はどうなっているのでしょうか?
「新たな成長に向けた日本型市場システム・企業ガバナンスの在り方に関する調査・研究」:内閣府より引用
急増しているのは外国人株主、減少しているのは金融機関の株主であることがわかります。
これらを見れば、会社を投資対象として売買するという考え方が徐々に浸透してきており、その背景にそれを可能にしてきた制度改正がなされているのでは、と考えられます。
つまり、ある日、突然、新聞記事で自分の会社の売却を知った、などということが起きる時代になってきているのです。
しかし、それって何か違和感がありませんか?
「株主や経営者(役員)がすべて決定してから知らされることは当然なのか?」
「じゃあ、社員にとっての会社って何なのか?」
「自分たちが働く場(会社)のことを、自分たちで決められない、ってどうなの?」
など・・、改めて「会社って何?」ということについて、考えさせられます。
意外に知らない「会社」のこと。
このシリーズを通して明らかにしていきたいと思います。
<目次構成>
★シリーズ『会社って誰のもの?』
プロローグ:ある日、突然、会社が買収されたら?
1-2 会社制度の比較:株式会社と持株会社、各種団体等のメリット・デメリット
2-2 株式会社の歴史:現代の企業につながる起源は?
2-3 工業生産時代に発展した理由:資本主義における最先端様式
3.「では、何が問題なのか?」~会社って誰のもの?
3-1 工業生産→意識生産へのパラダイム転換
3-2 私権企業の統合不全
3-3 共同体企業と私権企業の比較
まとめ:意識生産時代の会社のあり方や働き方は?~
では、これからのシリーズ投稿、ご期待ください。
- by systema at 23:44

コメント
新シリーズ、とても楽しみです!
実は、法的には「会社は株主のモノ」なんだ…
とはっきりと意識したのは、NHKのドラマ「ハゲタカ」を
見たときでした。
強く感じたのは、現在の法律(会社法、労働法など)は、
“仕事は奴隷にさせるもの”という西洋の価値観を
前提にしている、ということです。
今後、このあたり法律の歴史も含めて
問題点を整理していただけると
スッキリするんじゃないか、と期待しています。
最近は「協働労働の協働組合」の法人化を目指す動きなど、新しい組織形態を目指す流れが増えてきており、マスコミでも取り上げられています。
また、先日出合った写真関連会社を設立したばかりという若者は、所有と経営が一致している「合同会社」という形を取ったと、活力を持って語っていたのが印象的でした。
このような新しい組織の動きがどのような流れから生まれてきているのか?今後活力ある組織はどう舵取りしていくのかを探る意味で、今回の歴史をしっかりと押さえるシリーズはとても楽しみにしています。
雅無乱さん
>実は、法的には「会社は株主のモノ」なんだ…
とはっきりと意識したのは、NHKのドラマ「ハゲタカ」を
見たときでした。
>強く感じたのは、現在の法律(会社法、労働法など)は、“仕事は奴隷にさせるもの”という西洋の価値観を
前提にしている、ということです。
コメントありがとうございます。
たしかに、法律的に言えば明らかに「株主」のものになってしまいます。
それは、西洋発の「株式会社」の起源が(詳しくはシリーズ本文で明らかにしていきます)、もともとは投資リスクを回避するための組織形態であったことにも起因しているようです。
それに対して、日本は集団を形成していくために「株式会社」という制度(器)を利用したのではないかと考えています(つまり,集団が目的で、制度は手段)。
そのズレが現在の違和感につながっているように思います。
今後の解明に期待してください。
羊熊さん
ご期待ありがとうございます。
>最近は「協働労働の協働組合」の法人化を目指す動きなど、新しい組織形態を目指す流れが増えてきており、マスコミでも取り上げられています。
従来からの会社制度だけでは、これから必要とされる組織運営形態や、事業内容に合わないのだと思われます(もちろん、為政者側の別の意図もあるのでしょうが・・)。
>所有と経営が一致している「合同会社」という形を取ったと、活力を持って語っていたのが印象的でした。
なるほど。昨今、急増している合同会社も可能性のひとつだと思います(組織規模や事業内容によって変わるといえそうです)。でも、「組織をどうする?」という視点で働く若者が増えていくことにこそ、可能性を感じますね。
現在、会社に関連する法律、制度が急速に変わりつつあります。その中から、新しい可能性を見出していくためにも、まず歴史から押さえていきます。これからもよろしくお願いします。